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特集2. 障がいのある社員がやりがいを持って活躍する職場へ

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ハピネットグループは、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」をマテリアリティに掲げ、多様な人材が個性・能力を最大限発揮しながら、仕事にやりがいを持って取り組める体制づくりに注力しています。その取り組みの一環として、障がいのある社員が自身の能力を活かし、一人の戦力として活躍できる環境を整備しています。

障がいがある社員の能力開発と成長を支える

ハピネットグループは、社員への経営姿勢として、「一人ひとりを尊重し、成長と挑戦の機会をつくり、働きがいのある環境を育てる」ことを掲げています。障がい者雇用についても、単に雇用率の達成を目指すのではなく、障がいのある社員(サポートスタッフ=Sスタッフ)が「能力を持った一人の戦力」として活躍し、自立と成長を目指せる職場づくりに取り組んできました。

ハピネットグループが重視しているのは、Sスタッフ一人ひとりの特性を活かした役割の付与と業務マッチングです。例えば、各事業部門から新たに受託した業務は、まず新規業務担当のSスタッフが業務を習得・実践します。そしてどのSスタッフが作業を行っても同水準で作業ができるように、マニュアルや入力作業用フォーマットなどを作成して業務手順の整理や改善を図ります。その上で、他のSスタッフへレクチャーを実施し、横展開していきます。このように一人ひとりの障がい特性を理解・尊重し、合理的配慮のもとで得意なスキルを生かせる仕組みや環境を整備することで、Sスタッフが活躍できる領域の拡大につなげてきました。現在、Sスタッフは、経理システムを使用した請求書支払処理、水道光熱費や車輌の使用管理、安否確認システム登録、通勤交通費や住所変更などの社内申請対応、商品動向や在庫状況のデータ加工など、多岐にわたる業務に取り組んでいます。これらのSスタッフが受託可能な業務をリスト化し、社内に通知することで、社内の理解促進と認知度の向上にも取り組み、2023年度にSスタッフが遂行した業務は420件に上りました。

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合理的配慮によってSスタッフが活躍できる活動が拡大

以前は、Sスタッフを支援する社員(フォロースタッフ=Fスタッフ)がSスタッフの業務・労務管理をトータルで支援していましたが、Sスタッフの雇用人数の増加とともにFスタッフの負担が増加していることが課題となっていました。現在、ハピネットグループではFスタッフの支援業務を労務面と業務面に担当を分けることで、Fスタッフの負担軽減を図り、これまでのSスタッフへの支援レベルを落とさない体制を構築しています。

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労務面と業務面に分けてSスタッフを支援することで、Fスタッフの負担を軽減。

サポートスタッフの成長を支える評価制度の導入

2023年度には、Sスタッフがキャリアプラン構築や将来設計を通じて自立・成長を目指せるよう、評価・昇給制度を導入しました。年度ごとに3つの業務目標を設定し、3カ月に一度、進捗・達成度を確認する面談を実施しています。本制度は、障がい特性のためにできないことを評価するのではなく、できるようになったことを評価する仕組みです。Sスタッフの自己評価とFスタッフによる評価をすり合わせ、本人へのフィードバックを行います。

本制度導入後、Sスタッフの成長意欲、組織貢献への意識などの向上がみられました。例えば、自身の得意分野であるマクロ作成によって、依頼元の業務や自身の作業時間削減を検証しながら業務効率化を図っていたSスタッフが、チーム全体の作業効率化に向け、これまで苦手としてきた販促物作成などにも積極的に参加するといった行動変容です。

こうしたハピネットグループの障がい者雇用における取り組みが評価され、ハピネットグループは2023年10月、「障害者雇用エクセレントカンパニー賞※1」において「東京都知事賞」を、また「令和5年度独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞(障害者雇用優良事業所/優秀勤労障害者)※2」を受賞しました。

  • ※1 東京都が、障害者法定雇用率を達成している都内企業のうち、障害者の能力開発や処遇改善を積極的に行うなど、優良な取り組みを行う企業を選定し、東京都障害者雇用優良取組企業として授与するもの。
  • ※2 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が、障害者雇用の促進と職業の安定に資することを目的として、「障がい者を積極的に多数雇用している事業所」「障がい者の雇用の促進と職業の安定に著しく貢献した団体又は個人」「模範的職業人として長期勤続する障がい者」に対して表彰するもの。
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ハピネットグループの障がい者雇用の取り組みが評価され、賞を受賞。

障がい者が安定して就労し、適切に能力を発揮できる環境を整備することができれば、障がいのある社員が一般社員よりも高い業務効率を達成できる領域があり、障がい者雇用は社内全体の効率化につながります。ハピネットグループは今後も、一人ひとりの適正を見極めた業務マッチングと適切なサポートに努め、あらゆる人材が個性・能力を最大限発揮して活躍できる環境づくりに取り組んでいきます。

担当者の声

(株)ハピネット コーポレート管理室 組織開発部 業務サポートチーム
リーダー:寺内 智彦
労務フォロースタッフ:黒羽 宣行

ゼロから試行錯誤で取り組んできた障がい者雇用

業務サポートチームは、Sスタッフがそれぞれの強みを最大限に発揮して、業務に貢献することを目指すチームです。どの部門も人手不足の中、Sスタッフが業務を担当することで人手不足の解消に貢献できます。私たちは各部門とSスタッフの橋渡しとなり、皆が笑顔で働き続けられるよう取り組んできました。

これまでに、業務スケジュールの見える化や「報・連・相」の仕組み化、支援体制や評価・昇給制度の導入などを行ってきました。これらの合理的配慮や環境整備によって、未経験の物事への不安感を持ちやすい特性があり、非効率な進め方を続けていたSスタッフが、そこから脱却して想像以上のパフォーマンスを発揮したケースもありました。支援機関の方も「強いこだわりのある方が、ここまで変わるのを今までに見たことがない」と驚いていたほどです。Sスタッフが自身の能力を発揮し、成長・活躍する姿を見ると、私たちもやりがいを感じます。

賞を受賞したことで、社外からの会社見学や取材の依頼が増え、ハピネットグループの取り組みを広く知っていただけるようになりました。私たちも最初のころは多くの企業を訪問させていただいたり、勉強会に参加させていただいたりしながら、手探りで障がい者雇用を進めてきました。ゼロから試行錯誤しながら取り組んできたハピネットグループの知見が、少しでも雇用の課題で悩む企業の参考になり、多様な人材が活躍できる世の中への一助になればうれしく思います。

業務サポートチームでは、「障がいの有無にかかわらず“ふつう”の環境で“ふつう”に働ける“ふつう”を実現する」をありたい姿として掲げています。Sスタッフの活躍で、障がい者雇用の社内認知度は以前に比べて向上していますが、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが業務効率化や生産性の向上にどう貢献するかを適切に理解することが必要です。チームで掲げているありたい姿へは、まだまだこれからだと捉えています。今後の障がい者雇用率上昇への対応も必要ですが、雇用率達成ありきではなく一人の戦力として、活躍領域の拡大、雇用体制のあり方など、障がいのある社員が活躍できる環境整備を進めていきたいと考えています。

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(左から)黒羽 宣行、寺内 智彦

(株)ハピネット コーポレート管理室 組織開発部 業務サポートチーム
業務フォロースタッフ:森田 尚史 福島 正蔵 櫻井 頼子

Sスタッフがその能力を最大限に発揮するために

私たちの担当はSスタッフの業務面の支援です。新規の業務依頼に向けた調整や、既存業務の円滑な遂行を確保するために業務スケジュールを管理し、イレギュラーや問題が発生した際の対応を行っています。また、Sスタッフの成長を促進するために、個々の強みを活かせる業務配分や日常のコミュニケーション、担当業務ごとのミーティング、月1回の業務面談を実施しています。

2024年4月現在、ハピネットグループには新入社員を含めて21名のSスタッフが活躍しており、多くの業務依頼が寄せられています。Sスタッフの活躍が、依頼元の業務削減に大いに貢献できていると考えています。彼らの能力は想像以上で、取り組める業務がたくさんあり、力を発揮できる環境や適切な支援があれば、さらなるパフォーマンスを発揮することも期待できます。Sスタッフが個々の能力を最大限に発揮し、業務を円滑に受け入れて運用できる仕組みを整備するには、私たち支援者一人ひとりのレベルアップと組織体制の強化も重要だと思っています。

チーム全体の業務運用が改善されることで、本人も気づいていなかった能力を発揮できる場面もあります。私たちは、今後も個々の特性に配慮しながら支援し、Sスタッフが自らの目標に向かって取り組め、強みを活かして貢献できるように取り組んでいきます。

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(左から)森田 尚史、櫻井 頼子、福島 正蔵